3月17日(土)シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開!
最新情報
NewS!
April 01, 2019
「夢の記憶装置」 神戸市で上映します!
「村田朋泰特集 夢の記憶装置」を
兵庫県神戸市の元町映画館にて上映いたします。
皆さま是非ご来館ください!
5/4(土)〜5/10(金) 連日18:10より
元町映画館
神戸市中央区元町通4丁目1-12
078-366-2636
劇場ホームページはこちら。
November 10, 2018
「夢の記憶装置」 横浜にて上映決定!
村田朋泰特集「夢の記憶装置」を横浜にて上映いたします。
11/24(土)〜11/30(金)
ジャック&ベティ(横浜市中区若葉町3−51)
前売り券は「松が枝をむすび」オリジナルクリアファイルの特典付きです!
(無くなり次第終了となります)
劇場ホームページはこちらです。
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イントロダクション
INTRODUCTION
NHKプチプチ・アニメ『森のレシオ』やMr.ChildrenのMV「HERO」などを手がけ、細やかで情感溢れる造形と、奇天烈で、懐かしさと温かさと哀しさが同居する唯一無二の世界観で多くの人々を魅了し続けている映像作家・村田朋泰。
本特集上映では、 “記憶”や“祈り”をテーマに、“生と死のあいだの世界”を描いた最新作『松が枝を結び』を初公開。さらにGalileo Galilei「サークルゲーム」のMVに使われた『木ノ花ノ咲クヤ森』、実在した床屋から着想を得て、古き良き昭和の世界を背景に一家に起こる不思議な出来事を描いた『家族デッキ』、娘を亡くした傷心のピアニストが体験する夢の旅を描いた『朱の路』など、15年にわたる創作活動の中から厳選した名作を一挙上映!
“夢”の世界を用いて、 “記憶装置”として映像をつくり続ける村田朋泰の世界へようこそ!
「僕にとって、映像は記憶装置」—映像作家・村田朋泰の珠玉のアニメーションを一挙公開!
村田朋泰
TOMOYASU MURATA
1974年東京出身。東京芸術大学修士課程美術研究科デザイン専攻伝達造形修了後、コマ撮りアニメーション制作会社(有)TMCを設立。言葉やセリフを排し、仕草や佇まいによる演出で心情を表現し、光の陰影や雨風の移ろう風景を巧みに織り込み「不在」「喪失」「記憶」「死生観」を題材とした作品を通して日本人のアイデンティティを探る制作をしている。
代表作として「睡蓮の人(2000)」「朱の路(2002)」Mr.Children「HERO」のMVなど。現在、Eテレ「プチプチ・アニメ」にて『森のレシオ』を放送中他、ランダル・ジャレル原作の『陸にあがった人魚のはなし』を制作中。
映像作家 村田朋泰
2000年 睡蓮の人
2002年 朱の路
ポンユタウン NHKプチプチ・アニメ
2003年 白の路 Mr.Children「HERO」MV
2009年- 森のレシオ NHKプチプチ・アニメ
2013年 木ノ花ノ咲クヤ森 Galileo Galilei「サークルゲーム」MV
2017年 松が枝を結び
受賞歴
2017年 第10回国際アニメーションフェスティバルANCA入選「木ノ花ノ咲クヤ森」
2016年 シュトゥットガルト国際アニメーション映画祭2016入選「木ノ花ノ咲クヤ森」
2010年 第13回文化庁メディア芸術祭/審査委員会推薦作品「家族デッキ」
SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2010/奨励賞「家族デッキ」
2003年 第2回国際アニメーションフェスティバル アニフェス2003トレボン入選「朱の路」
2002年 第9回広島国際アニメーションフェスティバル優秀賞「朱の路」
新作「松が枝を結び」は、2011年に起きた東日本大震災と福島原発事故を機に制作を始めました。日本人にとっての「祈り、信仰、記録」をコンセプトに、日本列島の起源及びアイデンティティを探る映像叙事詩シリーズの第3作目として制作いたしました。
巨大地震の直後、わたしはテレビ中継で目にした強大な津波が襲いかかる映像を前に呆然とし、多くの人々が命を落とし深い悲しみを感じ、自分の無力さを噛みしめ亡くなった方々へ深くご冥福をお祈りしました。
「冥福を祈る」とは「死後の幸福を祈る」ということですが、わたしはそれまで意味も分からずこの言葉を口にしてました。死後の幸福がどのようなものなのかは誰にもわかりませんが、この言葉をきっかけに脚本を書き始めました。わたしは学生のときから「生と死の間にまつわる記憶」についての物語を制作してきましたが、この物語では死者が自身の記憶を辿り、黄泉の国に向かう、黄泉の国にいっても生きていたときの記憶をとどめていることが幸福なんじゃないかと考えました。
また私が一卵性双生児であることから、「陰陽」「一卵性双生児」「断層と断層」といった対となるモチーフによって、断層同士がぶつかり合い巨大な力によって生まれる現象と、双子の女の子の心理的現象を同列に表すことを目指しました。「白い山のスノードーム」は「過去と現在」、また「この世とあの世」の綱渡しとして用いました。表情や感情がはっきりした人形と、そうでない人形の素材を変えることで「生と死」を表現し、現在と過去を行き来する展開となっています。
仏師は「木に祈りを込めて」埋まっている姿を彫る(掘る)といいますが、わたしもまるで仏師のようにアニメーションを彫っていく思いでこの作品を制作しました。
「彫る」は「掘る」と同様で、掘る行為は地下に向かって掘っていき、また地下にはその土地のさまざまな記憶や記録が埋まっています。「ほる」という響きは「過去を掘り起こす」「記憶や記録を掘り起こす」ことだと解釈しています。
わたしにとってアニメーションを彫る(掘る)とは人や地域に起きた重要な出来事、忘れてはならない出来事を末長く受け継ぎ、伝承していくための記憶装置をつくることだと思っています。
特集上映ではイメージフォーラムを皮切りに日本全国の映画館で上映を予定しています。
全国の映画館を巡り、その土地で上映させていただくのは今回が初めてで、念願でした。まるで地中のように真っ暗な中、スクリーンに広がる作品世界を感じていただけたら嬉しいです。
作者コメント
フィルモグラフィー
上映作品
FILMS
家族デッキ
『家族デッキVol.2 家族旅行』
夕暮れどき、野球が好きなお父さんは今日もビール片手にテレビで野球観戦。すると七福神の髪様が高田家なにかを残していく。くるくるきらきら。
2007年/5分16秒/監督・脚本:村田朋泰/音楽・田戸達英/HD digital data/★第13回文化庁メディア芸術祭/審査委員会推薦作品・SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2010/奨励賞
Family Deck vol.2
家族デッキ
Family Deck vol.1
東京下町のタカタ理容店に住む七福神の“髪様”が起こすイタズラ。
東京の下町にあるタカタ理容店を経営する高田家は、両親と中学生のお姉さん、小学生の弟の4人家族。この床屋に住まう七福神の髪様のいたずらで、高田家の日常にはちょっと不思議な出来事が起こる。
『家族デッキVol.1 高田家の春』
桜舞う季節。この理容店に住まう七福神の髪様と、高田一家のある1日のおはなし。
2007年/4分25秒/監督・脚本:村田朋泰/音楽・田戸達英/HD digital data/★第13回文化庁メディア芸術祭/審査委員会推薦作品・SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2010/奨励賞
森のレシオ -Ratio Of Forest-
ratio of forest
氷の世界に住む少女レシオとその友だちジャモン。ふたりで出かけた先で出あった精霊や不思議な生き物たちから様々なことを学んでゆく。
レシオとジャモンは大きな鳥かごのエレベーターに乗り、こうかんトリのヤップと物々交換をしに行く。ヤップは空の神様で、たくさんの鳥かごを下界にぶら下げていろんなものを交換している。ヤップは親愛のしるしとしてジャモンを甘噛み。
2012年/5分/監督・脚本:村田朋泰/音楽・田戸達英/HD digital data/NHK「プチプチ・アニメ」放送中
路 -road-
短い季節の思い出と切ない痛み。Mr.Cildren「HERO」MV作品。
少年と少女が過ごした短い秋の思い出。それは大人になっても忘れることのない記憶と切ない痛みだ。男は自分が少年だったころの路を辿る。どこまでも真っ白な景色を駆けていくように。
2003年/14分35秒/監督・脚本:村田朋泰/音楽・坂巻史和/HD digital data★Mr.Children「HERO」MV・広告起用
White Road
路 -road-
娘を亡くした傷心のピアニスト。彼が体験する夢の旅。
暗く長いトンネルを走る列車。悲しみを抱えた男は朱の花を差し出す少女と出会い、短い旅へと向かう。
言葉ではないもの、言葉にはできないもの。些細なこと。些細なもの。その短い旅の終わりに男は長く暗いトンネルを抜ける。
2002年/13分11秒/監督・脚本:村田朋泰/音楽・坂巻史和/HD digital data/★第9回広島国際アニメーションフェスティバル優秀賞・アヌシー2003国際アニメーションフェスティバル 推薦作品上映など
Scarlet Road
生と死にまつわる記憶の旅
第3幕
A branch of a pine is tied up
「現世と黄泉」「双生児」「断層」。対になるモノ同士のぶつかり合いで生まれる巨大な力と、うつろいゆくものへの無常観を描く。
震災で引き裂かれた双子。スノードームは、現在と過去を結ぶ。死者は、現在と過去を行き来しながら、記憶を取り戻していく。月と太陽が重なり、過去と現実がつながる。うさぎ男は、記憶を取り戻した少女を黄泉の世界に導く。
2017年/16分33秒/監督・脚本:村田朋泰/音楽・田戸達英/HD digital data/★Asians on filmアニメーション部門佳作賞・音楽部門佳作賞・文化庁文化芸術振興費補助金
生と死にまつわる記憶の旅
第2幕
AMETSUCHI
火山、地震、気候変化によって日本列島が生まれ国土が整っていく「事のはじまり」と神々の物語。自然現象と人間感情の集合をコンセプチュアルに映像化。
その島は、幾度となく火山の噴火と地震を繰り返し、その形を作ってきた。地面からは煙が上がり、地中ではマグマが静かに燃えている。そうしてできた島は、やがて白い砂に覆われ、どこからか湧き出た水が川になった。その水は森をつくり、命をつくった。
2016年/10分31秒/監督・脚本:村田朋泰/音楽・田戸達英/HD Digital data/★HBC GLOBAL ART COLLECTION収蔵
生と死にまつわる記憶の旅
第1幕
Forest this flower blooms
過去を紡ごうとするウルフ。過去を消し去ろうとするハンター。
記憶を失った主人公(ウルフ)は過去の痕跡を探しながら、すべてを消し去ろうとする二人のハンターから逃走している。やがて世界の縁にたどりつき、本来の記憶と姿を取り戻す。
本シリーズ(5幕)全体の導入部ともなっている冒頭のシーンでは、能面を付けた翁が忘却の縁(ふち)で静かに舞い、諸行の願いを語り継ぐ。
2015年/11分5秒/監督・脚本:村田朋泰/音楽・田戸達英/HD Digital data/★シュトゥットガルト国際アニメーション映画祭2016入選・HBC GLOBAL ART COLLECTION収蔵
コメント
COMMENTS
雰囲気だけで訳のわからない作品は、あまり好きになれない。伝えることを初めから放棄している傲慢さや、きっとわかってもらえるだろうと言う甘えが、作品うんぬんよりも先に感じ取れてしまうからだ。
村田さんの作品は、失ったものへの憂いと慈しみが、静かな日常を通して、見事に描かれている。もちろん、雰囲気だけの作品ではない。雰囲気だけの作品ではないけれど、雰囲気だけで充分伝えてしまう力を持っている。
凄いことだと思う。是非とも体験してもらいたい。
桜井和寿(Mr.children)2004年11月『朱の路』へのコメント
村田監督の作品のおかげで「サークルゲーム」という曲がぐっと重みを増したと感じたことを覚えています。
スタジオにお邪魔した時に、撮影やセットを見せて頂き、自分達が親しんできたアニメーションがこういったかたちで作られていくのか、と感動しました。
これからも素晴らしい作品を作り続けていってください。
尾崎雄貴(元 Galileo Galilei)
夫婦でジーーーーンとさせて頂いた。
静謐でセンシティブな中、突然激しく、心の深いところを刺激する。音楽もキャラクターも構図も素敵だったが、何より光の扱いが素晴らしく美しく驚嘆する。
ケラリーノ・サンドロヴィッチ(劇作家・音楽家)
村田朋泰さんの各作品を観て、とても深く心に感じました。ほんの少しの角度や光の当て方で、無機質に見え、また体温さえ感じる時もある人形たち…。
他の方法では出せないある種の「力」が練り込められています。
桐竹勘十郎(文楽人形遣い)
作り物に命を吹き込むのではない。表情を抑制することで、観る者の心情が投影される鏡のような映像を作っている。だから共感が生まれる。
籾山 昌夫(神奈川県立近代美術館主任学芸員)